『モモとカービィ』第1話
■プロローグ
星の数ほどの異世界が存在し、異世界間の交流が盛んな世界同士もあれば、
自分たちの住む世界以外に世界があることすら知らない世界もある。
そんなこの世の中で、
ここ、幻熱燈館は、どこかの世界に建っているのか、
はたまた世界のハザマにあるのか誰も知らない不思議な館。

しかし、ひとつ確かなのは、異世界を渡り歩く旅人たちの憩いの場となっていること。
とある人は初めからこの館を訪れるのが目的で、
またある人は偶然、世界の扉がここへ通じてしまったりと、
理由は様々だけど、ここの主人は気前よく旅人たちを泊めていってくれる。
宿代は、異世界の珍しい話をきかせてあげること。
なぁに、自分の故郷の話でも構わないんだ、ここの主人にとっては異世界の見たこともない場所の珍しい話に違いないんだからね、
喜んで聞いてくれるよ。


さて、そんなこの館には、おのずと常連も出来てくる。
異世界を旅して旅行記を書いている、おんぷとももこのコンビが有名だ。
だが、今回のお客はこの2人ではなく、ちょっと特別な訪問者らしい。

主人の前にはおんぷとももこ、そして新顔の2人 いや1人と1匹か?が座っている。
『まぁ、まずはお茶でも飲んで、ココまでの道中大変だったでしょ?』
『はい、ありがとうございます。でも、このこと一緒だったから、大丈夫でした』
そう、といって主人は穏やかに微笑む。 部屋の置くからゴシックロリィタ服の『彼女』がお茶を運んでくると、
部屋は一気にパーティ会場のように明るくなった。

『うわぁ〜、今回のお茶菓子、ケーキ、やっぱり美味しそう!!』
『ねぇ、私たちも食べていいんだよね?ね?』
と、おんもも二人がはしゃぎだすと、今回のゲストたちも緊張がとれたように微笑んだ。
『ふふ、それじゃあ、ゆっくりでいいわ。聞かせてくれる?あなた達のこと』
この美術館(サイト)の管理人も勤める、館の主人、トゥルーは言った。



■その名だけが永遠に

ここは宇宙? それとも世界のはざま?
漂うその何かは、ココがどこかもわからずにいた。

昔、ある使命を帯びて、少女は生きていた。
そして使命を果たせず、力尽きた。
それでもその名と使命は代々受け継がれ、その度に新たな少女が遣わされた。
新たな少女というのも少し違っているかもしれない。
みんな、みんな同じ名前と姿と使命を与えられてきたのだから。
そして、使命を果たせたものは いなかった。

いつかしかその名前と姿と使命は命を宿し、受け継ぐ者がいなくなった今は
精神のみの生きる存在となり、ただただ漂い続けていた。何年も何千年も…

しかし、ある時のこと、懐かしい香りを感じた。
ずっと死に等しいほど機能していなかった様々な感覚が蘇るほどに懐かしい。
これは…夢の香り? まだ、私は未練があるの…? もう昔に答えは出したというのに−
でも永遠に思える孤独に灯った、ただひとつの希望に思えた。

よし、行ってみよう。

その精神の光はとある惑星へと降りていった
その星の名はポップスター。
夢のあふるる、星だった。


■夢の泉の物語


ポップスターにあるプププランド。
ここではとある異変が起きていた。

この星の住人たちに、夜見る夢を与える無限の泉がある。
しかし、ある夜を境に誰も夢を見ることが出来なくなってしまった。
この星の住人は、夢を見なくては元気に生きていくことが出来ない。
夢のカタマリのようなこの星の住人は、夢も食べ物と同じエネルギー源なのだ。

これは夢の泉に異変が起きたに違いない と皆が噂する中、
かつてこのプププランドの食べ物を全て盗み出すという大事件を起こした張本人である、
あのデデデ大王が、再び集まった家来とともに夢の泉を襲ったことがわかった。

デデデ大王は夢の泉を司るスターロッドを7つにわけてしまい、
それぞれを家来たちに管理させてしまったのだ。
それをきいて立ち上がった若者がいた。
かつての食物大盗難事件を解決し、デデデをこらしめた若者。
丸いピンクの星の子、カービィであった。 (ファミコン、星のカービィより)

旅立つカービィのはるか上空には、謎の光がこの星へ向かってきていた…。

(続く)


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