2002.4.24
『人の心とそれぞれの世界』


ちょっとおんぷちゃんの話は難しいかもしれませんが、人はその心の内に光と闇
両方を併せ持っているとても繊細で脆くて強いものだ、ということ。
人によってはこの話、様々な解釈が出来るかもしれませんね


おんぷちゃんと今度の旅について話していると、そのまま過去の旅の思い出話に
『この前行った国の昔話なんだけどね…』
そういっておんぷちゃんが聞かせてくれた物語は、私達と同じ旅人の話

とある旅人が、滞在していた国でその噂を聞いて、闇の住む国へ訪れました
闇といっても、悪魔がすむような魔界とはちょっと違います
純粋に『闇』のものたちが住まう静かな世界といっておきましょうか

ところがその国へ行く手前で一人の女性に会いました
彼女は闇の国の住人で、ここで見張りや案内をしているとの事でした。
旅人はぜひこの国を見てみたいと申し出ましたが、女性は首を横に振ってこう言います

『あなたは 人間ですね?』

旅人はその問いに『はい』とだけ答えます

『この国に入るには“闇”そのもになってもらわなければなりません、勿論、人間でもすぐなれますが…』
『何か問題でも?』

今度は旅人が逆に尋ねます

『ええ、人間は逆に“光”にもなれます。ごく些細なきっかけでも光り輝いてしまう存在。
そうなってしまうと、闇はたちまち照らされ消えるでしょう、闇の国にとって光はとても危険な存在なのです。
ですから、申し訳ありませんが入国は出来ないのです…』

女性はすまなそうに言いましたが、旅人は経験でその地その地での決まりがあることも知っていましたので
彼女の忠告を素直に聞き入れました。

そして一言 『ご忠告有難う、どうかお元気で』と言いました
女性も少し寂しそうに微笑んで 『ええ、あなたもお元気で』と言いました
そして二人は別れを告げ、旅人は次の地へ向かうことにしました。




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